私たちは抗真菌薬の市場性の可能性に注目しています。
近年、加齢や癌、エイズなどによる免疫不全による日和見感染によって真菌症に罹患する患者が増加しています。抗真菌薬の市場規模は全世界で1,500億ドルに達しています。患者数は年々増加しており、発展途上国の患者を含めると潜在市場は極めて巨大です。さらに高齢化の進展により、患者数は私たちの想像をはるかに超えて増加していきます。
一方で、新しい化学構造を備えた抗真菌薬はここ数十年供給されていません。新しい抗真菌薬のほとんどは、アゾール系の合成抗真菌薬が上市されています。また、アゾール系やキャンディン系薬剤の長期使用による耐性菌の出現も深刻な社会問題となっています。
1955年に抗真菌薬の開発初期に発見されたアムホテリシンBは、耐性菌が出現していないため、現在でも使用されているのが現状です。現在の状況では、医師と患者はまったく新しいタイプの抗真菌薬を真剣に必要としています。したがって、今回発見したオキサジリジン骨格を有する抗真菌薬の出現は、アゾール系、キャンディン系に続く抗真菌薬の新たな扉を開く画期的なものとなります。私たちは、市場が拡大しており、多くの方が両手を広げて待っている現在の状況において、新しいオキサジリジンベースの抗真菌薬を提供できることは非常に重要であると考えています。
石見 盛太 (工学博士)